4巻の「チキュウって何だ?」でゾッとしました。
カナタたちの視点で話を読み進めていたのに急にポリ姉のほうにガッと引き寄せられた感じ。地球を知らない?え、じゃあこの子たちは一体何人なの…?って。恐怖すら感じた。
よく読んでみたら1巻から「地球」っていう単語は出てきていなくて、皆の母星は地球なんだと思い込まされていたんですよね。見事に引っかかった…。
1話で「故郷から彼方にあるアストラ号」「カナタのアストラ号」というイメージを植え付けられるので、タイトルにある「アストラ」はこの船のことで、故郷は地球なんだなと何の疑いもなく思うじゃないですか。しかも西暦使ってるし。
この漫画のすごいところはこれだけじゃなくて、最初から最後まで無駄なエピソードがなくて全て繋がってるんですよね。一見何でもないエピソードでも終盤に向けて伏線が張ってあるっていう。
アリスペードで出た単為生殖(クローンを作って増える)とかモロ伏線じゃないですか。後から「あぁ〜なんとなく読んでたあれ!そういうことだったのか!!」ってなるのが楽しい。
立ち寄った星の生態系のこともよく考えられていて、説得力があって面白い。例えばアリスペードは頻発する地震のせいで津波がたびたび発生する惑星。だから陸上生物がいなくて魚と鳥しかいないし、陸地がかなり少ない。みたいな。
この津波に関してはインターステラーのオマージュかなと思って嬉しかったです。インターステラー何回も見るほど大好きなので、作者さんもこの映画に影響受けたのかな〜と思うとニコニコする。
これだけ舞台設定を整えたうえでそれぞれのキャラについて掘り下げもしっかりしてるし、みんなが成長する姿も丁寧に描いてあるので、最後に刺客が改心するシーンも自然だし、なんなら泣けてくるし。全5巻にこんなに濃い話を詰め込んだのすごい。何回すごいって言うんだろうこの人。
伏線のこととか話し始めるとキリがないのでこのへんでやめときますが、本当に面白かったです。いやー名作だわ…。